変容について – グルジェフ(パート3) – 変容

アサフ・ブレーバーマン, カリフォルニア
その時点で貴重なものを犠牲にすること、長期にわたって多くの犠牲を払うことが必要である。とはいえ、それは永久にではない。(ゲオルギイ・グルジェフ

「変容(transformation)」という言葉はラテン語に由来しており、「形を超えて」という意味があります。第四の道は変容が起こる可能性を認めており、この変容を人間の内なる葛藤の最終的な目標としています。

この目標を当然実現するものと考えて、その価値を忘れることがあってはなりません。キリスト教の修道院での修行など、内なる葛藤が求められる他の教えでは、肉体の死の前に、このトンネルが終わった時点で光があることを「約束してはいません」。これに対して第四の道では、人間が肉体の内部で生きながら、アストラル体の形成に十分な物質を結晶化できる可能性があると主張しています。

科学の分野で、結晶化は「相変態(transformation)」を指しています。相変態に必ず伴って生じる現象は、たとえば水蒸気が水、さらには氷に相転移するなど、ある状態から別の状態への物質の形態変化です。グルジェフは、人間の内面で「イエス」と「ノー」の葛藤が適切な土台の上で起こればそうした結晶化が起こる可能性があり、いったんその結晶化が生じたあとは内なる葛藤の性質がまったく変質するだろうと教えていました。

犠牲は結晶化の過程が続く間にのみ必要となる。ひとたび結晶化が達成されれば、禁欲、窮乏、犠牲はもはや必要ではなくなる。そのとき人間は望むものをすべて手に入れることができる。彼はもはやいかなる法則にも支配されることはない。彼自身が法則となるのである。(ゲオルギイ・グルジェフ)

撹拌は変容を生じさせます。それは撹拌されるものの形態を変化させます。たとえばミルクを撹拌すればバターとなり、木を激しく動かして擦れば火が生じます。そのため、ヒンドゥー教の神話「乳海撹拌」とは、変容についてたとえで語っている寓話なのです(乳海撹拌については、変容 パート1およびパート2を参照)。

神々と悪鬼たちが力を合わせて大蛇を引き合い、ヴィシュヌ神が下方からその撹拌を支えると、乳の大海は次第に数多くの貴重な品を吐きだし、ついにはその成果として、求めていた不死の神酒アムリタ(甘露)も出てきました。

変容 - グルジェフこの途方もない綱引きは神々と悪鬼たちにとって力の限界を超えた要求でした。しかしその一方でこの物語では、巨大な亀に転生したヴィシュヌ神は、甲羅の上で激しく動いて擦れるマンダラ山の圧力を「背を掻かれてかぎりなく心地よい」ものと感じていたといいます。

変容の特徴は、明確に分かれたこの体験の違いにあります。つまり、低次の世界にとっては生命をおびやかすような同じ努力が、高次の世界にとっては生命をもたらすものとして知覚されるのです。実際、ここで私たちが話している変容は「努力そのもの」の変容ではなく、「努力という体験」の変容です。こうして、私たちのアイデンティティは、ついに複数の「私」(神々と悪鬼たち)から真実の「私」(ヴィシュヌ神)へと変容されるのです。

変容 - グルジェフ読者の皆さんは、以前に検討した「自己観察」のトピックで、旧約聖書の創世神話について触れたのを覚えているでしょうか?(創造 パート1)そのときは、「神」という言葉が一体何を象徴しているのかという当然の疑問について、あえて触れませんでした。しかし、今回のシリーズも最終回をむかえ、ヒンドゥー教の神話が描く葛藤の土台にヴィシュヌ神の存在を見出した今、はっきりした点があります。それは、「神」という言葉が象徴しているのは、人間の高次センター、理解が生じる中枢、その他あらゆる機能の主人(マスター) — すなわち真実の〈私〉だということです。

私たちが意識的になれば、高次のセンターにつながることになる。そうすれば、すべてが変わるのである。(ピョートル・ウスペンスキー

真実の〈私〉は、複数の〈私〉とはまったく性質の異なる現象です。それは個体性、統一性、恒久性、意識、意志などの特性をすべて兼ね備えています。でも、人間は本来これらの特性をもって生まれてくるわけではありません。人間の生における自然な状態は存在の複数性であり、またその非恒久性です。ですから、この結晶化を可能にするために必要なプロセスは、以下のようなものとなります。

自分が置かれている真の状態を認識する(解放 パート1 – 認識

確固たる努力の決意を固める(解放 パート2 – 意識的努力

内的な対立があることを見出す(解放 パート3 – 対立

観察によって自分の機械的な習慣を研究する(創造 パート1 – 自己観察

分離することで、そうした習慣から「私」という感覚を引き離す(創造 パート2 – 分離

内省によって新しい態度を形成する(創造 パート3 – 反映

新しい材料を使い、それを協調させながら古い材料とのバランスをとる(変容 パート1 – 協調

適切な土台の上で努力を実践する(変容 パート2 – 基盤

そして、変容という奇蹟を獲得する(変容 パート3 – 変容

しかし、形を超えた何かについて言葉で語ろうと試みても、必ず言い尽くせないものが残ることでしょう。むしろ私たちは、自分の力ではつかめない何かによって逆につかまれなければなりません。それは、私たちを別の何かに変容しなければなりません。この出来事は、人それぞれが自ら体験しなければならない奇蹟なのです。

遅かれ早かれ、あなたの中ですべてが新たにならなければならない。…新しい生のための新しい要因を結晶化させるために…(ゲオルギイ・グルジェフ)