変容について – グルジェフ(パート2)- 基盤

アサフ・ブレーバーマン, カリフォルニア
第四の道が他の道と違っているのは、そこで第一に要求されるのは理解だという点である… 自分が何をしているのかを理解すればするほど、その努力の結果は大きなものとなる。(ゲオルギイ・グルジェフ

ワークを生活の中心にすえた人々は不断の綱引きを行っています。自分が空想に陥っていることに気づけば、その空想を振り払って現在のリアリティに注意を向けます。自分が必要もなくあわてていることに気づけば、注意して丁寧に身体を動かすよう努めます。倦怠感が生じたと観察すれば、自分の姿勢を正します。そして人を非難する態度からは思いやりの心を導き、恨みの念からは人や物事を受け入れる態度を導くのです。

しかしこのワークでは、瞬間ごとに行うこうした努力の結果は、土台となる理解に比例して決まります。ワークの結果は理解の度合いに釣り合っているからです。このことからある疑問が生じます。なぜ空想を追い払うのか?なぜ恨みの念から分離するのか?なぜ非難や裁きの態度を心から落とすのか?

では、私たちは自分の努力をどのような土台の上に据えてきたのでしょうか?

「イエス」と「ノー」の間の葛藤は誤った土台の上でも容易に起こりうる。たとえば、ある思想への狂信的な信仰や「罪への恐れ」なども「イエス」と「ノー」との間に激しい葛藤を引き起こす可能性があり、人はこうした土台の上で結晶化してしまう場合もある。しかし、これは誤った不完全な結晶化となるだろう。このような人間にはさらに発達する可能性がないのである。(ゲオルギイ・グルジェフ)

ワークの態度によって機械的な習慣に対抗するという「イエス」と「ノー」の間の内的な葛藤は、さまざまな異なる理由で生じる可能性があります。その場合、同じ葛藤だとしても理由が違えば、その結果は異なったものになります。

グルジェフ - 神々と悪鬼の綱引きヒンドゥー教の神話「乳海撹拌」にはこの原理が織り込まれています(先月のトピック 「変容について – グルジェフ(パート1) – 協調」を参照)。不死の神酒アムリタを取り戻すため乳海を撹拌するようにヴィシュヌ神が神々と悪鬼たちに命じたとき、最初その撹拌の努力は土台を省みることなく始まりました。すると、その結果はすぐに明らかになりました。

撹拌してゆくうちに、支えるものがなかったマンダラ山はその重さのため沈んでいった、(『スリマド・バガバータ』 – ヒンドゥー教のプラーナ文献)

確固たる土台がない努力はやぶれて、水泡に帰してしまいます。このため、神々と悪鬼たちが大蛇を引き合ううちにマンダラ山は乳海へと沈んでしまい、神酒を得る望みも消えてしまいました。神々と悪鬼たちが最初に行った努力は、誤った土台の上で行われていたのです。

誤った土台で生じる葛藤としてよく見られる例は「虚栄心」です。たとえば、私がオフィスの椅子にだらしない姿勢で座っていたとしましょう。突然、自己への気づきが瞬間的に起こり、自分の恥ずかしい姿勢が明らかになります。私はすばやく姿勢を正して座りなおし、まわりを見わたして、上司が自分の不注意さに気づかなかったかどうか確かめます。その場合、だらしない姿勢とそれを正す努力との間で葛藤が起こったとしても、その土台は一体なんでしょうか?私は意識的「である」のか、それとも意識的である「演技をしている」のでしょうか?そのとき、たとえ他人をだませたとしても、本当にだました相手は自分自身ということになります。

では、「イエス」と「ノー」の間の葛藤にとって正しい土台とは何でしょうか?ヒンドゥー教の神話はこの疑問に次のように答えています。

ヴィシュヌ神は…マンダラ山が沈んでいく様を目にすると、驚くべき巨亀の姿に転生して海中に入り、山を持ち上げた。(『スリマド・バガバータ』)

グルジェフ - 巨亀に姿を変えたヴィシュヌ神この途方もない乳海の撹拌を続けるために、ヴィシュヌ神は亀の姿に転生してその土台を支えました。ヴィシュヌ神はその巨大な甲羅でマンダラ山を支え、乳海が十分撹拌されて神酒ができあがるまで、神々と悪鬼が大蛇の綱引きを続けられるようにしたのです。

この神話に登場するあらゆる姿や形象(神々、悪鬼、大蛇、乳海、山)の中で、ヴィシュヌ神は最も位階の高い存在です。この神話を内なる世界の象徴としてとらえれば、内なる葛藤の土台におくべき最高の部分となるのはヴィシュヌ神です。つまり、「イエス」と「ノー」の間で起こる撹拌は、最も深い理解を土台にしなければなりません。

では今月は、上の内容をヒントとして、「誤った土台」と「正しい土台」で起こる葛藤について投稿者たちにその例を示してもらうことにしましょう。

このシステムは理解を土台にしている… 理解すればするほど、ワークの結果はより望ましいものとなる。(ピョートル・ウスペンスキー